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【KS-Probioシリーズ】植物活性水について

商品について

要約・目的

新菌好熱性放線菌と新菌株好熱性繊維素分解菌を獲得し、これらを主体とする共生的混合培養によって、リグニン(木質素)を顕著に可溶化し、繊維素を発酵分解すると同時に、硬タンパク質を強力に分解する方法を開発し、その応用のひとつとして汎用性の高い液体発酵土壌活性剤を利用しやすい形での製品化に至りました。

構成

新菌好熱性放線菌サーモアクチノミセスSK053 sp.nov.と新好熱性繊維素分解菌クロストリジュウム・サーモセルムSK522と前記を補完する光合成菌群の共生的混合培養の施用は、短期間で有機性物質を腐熟分解し、すぐれた土壌活性剤として機能します。

【1】

下記1記載の新菌好熱性放線菌サーモアクチノミセスSK053 sp. nov.(Thermoactinomyces SK053 sp. nov.,工業技術院生命工学工業技術研究所 受託番号FERM P-13598)と、下記2記載の新好熱性繊維素分解菌クロストリジュウム・サーモセルムSK522(Clostridium thermocellum biovar.SK522,微工研条寄第3459号)との共生的混合培養物を有効成分とする液体発酵土壌活性剤。
記 1サーモアクチノミセス属に属し、10~85℃の広範囲の生育温度と、5.3~10.8pH広範囲の生育水素イオン濃度を有し、リグニン可溶化能と繊維素分解能を有する好熱性放線菌サーモアクチノミセスSK053sp. nov.(Thermoactinomyces SK053 sp. nov.,工業技術院生命工学工業技術研究所 受託番号FERM P-13598)
記 2リグニン可溶化能を有し、生育適温が65~72℃で、40~80℃の温度範囲で生育し、繊維素を旺盛に発酵する好熱性繊維素分解菌クロストリジュウム・サーモセルムSK522(Clostridium thermocellum biovar.SK522,微工研条寄第3459号

詳細な説明

【0001】

【産業上の利用分野】有機性物質の発酵熟成を促進して、土壌の肥沃化、土壌構造の改善と、同時に栽培植物の生育と品質の向上に有用な発酵土壌活性剤と、その有効な活用技術の確立にあります。

【0002】

【従来の技術】液体発酵土壌活性剤とは、動物性または植物性の有機性物質を微生物によって溶液発酵、熟成された溶液肥(みずごえ)のことで、具体的には魚介、家畜獣肉、皮革、獣角、蹄のみずごえ(くさらし肥)、ルーサンやツルムラサキ、その他青草、果実等を液体発酵させたみずごえのことです。
液体発酵土壌活性剤などと難しい厳格な言葉を使用しますが、各地において昔から「みずごえ」、「くさらし」などといって農家が使っていたものであり、材料が雑草や厨房の生ごみ等でありました。しかし、近代農業の発展と共に過度の集約化、化学化、大規模化、単作化等は地力の減退を招き、連作障害や土壌病害などが大問題となり、地下水汚染等も引き起こしました。ところが、それとともに有機農業、土壌微生物への関心が高まり、各地方伝来の「ぼかし」や「みずごえ」などが注目され、その施用効果が期待されるようになりましたが、その研究も技術も肝心の「発酵または腐敗さす微生物自体、その生理や作用メカニズム」はまったく「ブラックボックス」として論じられており、これらの熟成過程における微生物全体の姿、とくに有効微生物の働きについては基質が局所的に集積された微生物相の生態学的取り扱いが確立されていないこともあって、よくわからないというのが実情でありました。

【0003】

【解決しようとする課題】こうした実情のなかで、これらの熟成過程を植物生理・生化学や根圏微生物、とくに微生物生態学の立場から追求し、
■ これらの発酵腐敗の熟成に関与する微生物群の特定。
■ 熟成過程中の優占微生物相の変還とその生学的な検討。主要微生物とその作用
■ 試験圃場内の条件で基準となる液体発酵土壌活性剤の製造。
■ 熟成過程中の原材料主成分の変化の測定。
■ 合理的な熟成度の指標。
■ 未成熟肥料の与える生育障害や病虫害の防止と諸問題の解明につとめると同時に、その研究の成果は、いくつかの有効菌のスクリーニング、共生的培養による物質分解の理論と技術の確立、新菌好熱性放線菌を主体とする菌種混合新液体発酵土壌活性剤の提供となりました。

【0004】

【課題を解決するための手段】かかる課題を解決した本剤(材)の構成は、新菌好熱性放線菌サーモアクチノミセスSK053 sp. nov.(Thermoactinomyces SK053 sp. nov.,工業技術院生命工学工業技術研究所 受託番号FERM P-13598)と、新好熱性繊維素分解菌クロストリジュウム・サーモセルムSK522(Clostridium thermocellum biovar.SK522,微工研条寄第3459号)と、光合成細菌群、主に紅色非(無)硫黄細菌の集積混合培養、ロドシュドモナス(Rhodopseudomonas)、ロドスピリルム(Rhodospirillum)およびロドミクロビウム(Rhodomicrobium)の3属がこの科に属しております。これら3種を基本とする共生的混合培養物を有効成分とした液体発酵土壌活性剤です。

【0005】

SK053菌株と、SK522菌株以外に混合培養すれば好ましい他の繊維素分解菌としては、好気性,嫌気性,好熱性,又生理的にも繊維素を発酵して、特にメタンガスを多く発生するメタン菌,或いは水素を発生する水素菌等がある。具体的には次のものがある。

【0006】

(1) 好気性繊維素分解菌(適温22~35℃)
Bacillus fimi (Cellulomonus fumi),その他 genus Cellulomonus,Cellfalcicula viridis, C.mucosaActinomyces melanocyclus (Micrococcus melanocyclus),その他 genus ActinomycesCellulyticum flavumCelluvibrio flavescens,その他 genus CelluvibrioCytophaga hutchinsonii,その他 genus CytophagaPseudomonas fibrolysisMethanobacterium soehngenii, M.omelianskiiSarcina methanica

【0007】

(2) 嫌気性繊維素分解菌(適温25~37℃)
Clostridium werneriPlectridium cellulolyticum

【0008】

(3) 好熱性繊維素分解菌(適温55~65℃)
Clostridium thermocellum, C.thermocellulaseumBacillus cellulosae dissolvens, B.thermofibrincolus

【0009】

(4) 脱窒性繊維素分解菌(35℃)
Bacterium cellaresolvens

【0010】

ここでいう難分解性有機資材または難分解性繊維物質とは、オガ屑,チップダスト,プレーナー屑,バーク(樹皮)その他木材工業における廃材,モミガラ,イナワラ,ムギワラ等の藁桿類、ダイズ,アズキ,落下生等の豆類の種皮や莢殻、コーヒーかす,落葉,樹皮,ヨシやカヤ等の山野草、それにシイタケの廃ホダ木,その他キノコの廃菌床等の炭素率40~100以上の難分解性の各種植物遺体をいう。これらの植物遺体を構成している有機成分はきわめて複雑で多種多様であるが、一般にその主要成分は繊維素で約30~75%、次いでリグニンの15~40%で、両者を合わせると45~90%以上で、その大部分を占めている。その次がヘミセルロース7~25%の順で、そして少量ではあるが、タンパク質等の含窒素化合物,各種糖類,有機酸,アルコール類、それに油脂,ワックス,精油等が含まれています。

【0011】

又、ここでいう硬タンパク質とは、水,塩溶液,うすい酸,うすいアルカリに溶けず、酸及びアルカリについて加水分解されにくく、酵素作用の受けにくいコラーゲン,ケラチン,オツセイン,フイブロインのようなタンパク質で、骨及び歯,角,爪,毛髪等の主成分であります。

【0012】

賦型剤とは、石灰岩岩粉,ドロマイト岩粉,貝化石粉末,カニ・シャコ,貝殻等の甲殻・貝殻粉末,炭酸カルシウム,消石灰,パーライト,バーミキュライト,ゼオライト,けいそう土,塩基性岩粉,粉砕ピートモス,木炭・薫炭末等の粉粒体があり、これらの一種又は複数種の混合物を示します。

【0013】

微量栄養素及び微量ミネラルとは、ビオチン,ニコチン酸アミド,チアミン,ピリドキサミン,ビタミンB12,バラアミノ安息香酸等のビタミン類、アルギニン,シスチン,グルタミン酸,イソロイシン,ロイシン,プロリン,リジン,メチオニン,フェニルアラニン,スレオニン,トリプトファン,チロシン,バリン等のアミノ酸類、又、鉄,マンガン,銅,コバルト,カルシウム,マグネシウム等の微量ミネラル等がある。以上、これらの賦型剤・微量栄養素及び微量ミネラルは、有効菌・使用目的・土壌環境・風土・気候に応じて適宜選択される。尚、本好熱性放線菌サーモアクチノミセス SK053 sp. nov.(Thermoactinomyces SK053 sp. nov.,工業技術院生命工学工業技術研究所 受託番号FERM P-13598)を、以下単に新菌SK053又はSK053菌と称します。

【0014】

【作用】このSK053菌とSK522菌株及び光合成菌の混合培養物の有効性は、新菌SK053ととSK522菌株との相乗的効果により、リグニンの顕著なる可溶化能力の増強と共に繊維素の分解力、その他の機能を高揚し、これによって、強力な液体発酵途上活性剤とすることができます。

【0015】

特に新菌株好熱性繊維素分解菌クロストリジュウム・サーモセルムSK522(Clostriduim thermocellum biovar.SK522,微工研条寄第3459号)(以下SK522菌株と略称する)との好熱性混合培養(60~65℃)は、両菌種菌株の機能の相加的作用ではなく、相互作用によって生ずる相乗的効果によるものであり、相互にその機能を高め、最も困難とされている天然の各種難分解性繊維物質や硬タンパク質を強力かつ安定して発酵し、リグニン,繊維素,タンパク質,ヘミセルロース,その他の有機成分を迅速かつ強力に分解消化します。

【0016】

本混合培養物を有効成分とすることで、各種有機資材の液体発酵土壌活性剤を得ることができ、これらの有機資材の液体発酵土壌活性剤は、その用途,目的,気候,風土,土壌成分等に応じて、有用な常在微生物が混入し複数種となることで更にその効果が高まります。

【0017】

【実施例】以下、本資材及びその利用実施例について詳しく説明する。本資材の新菌SK053の科学的諸性質は下記の通りである。

【0018】

サーモアクチノミセス SK053 sp. nov.(Thermoactinomyces SK053 sp. nov.)
I.科学的性質形態的特徴耐熱性の真正内生胞子形成,基生菌糸と気菌糸に単一の胞子をつくる。胞子は平滑,球形,直径0.4 ~ 0.7 μ。胞子柄を欠くか,きわめて短い。基生菌糸は非分断性,直径 0.5μ。寒天培地上における生育はきわめて旺盛,すみやかに気菌糸を形成,白色,粉状を呈する。グラム陽性。
培養的性質増殖がきわめて活発。4~6時間でコロニーがつくられ,白色の気菌糸で覆われる。
(1) 平板培養栄養,イースト・麦芽,オートミルのほか,シュクロース・硝酸塩,グルコース・アスパラギン,グリセリン・アスパラギン,チロシンなどの合成寒天培地(3%)の60℃培養は,非常に良好で,気菌糸を形成する。コロニー表面の菌叢色は白色。基生菌糸の表面及び裏面は無色。培地中への拡散性色素の生産はない。
(2) 液体培養肉汁静地培養:白色被膜をつくる。しばしばコンパクトな沈澱物を形成する。ミルク培養:凝固,ペプトン化。
生理・生化学的性質本菌は好熱性,中温性,好冷性または,嫌気性,好気性あるいは脱窒性の各種繊維素分解菌との共生的混合培養によってリグニンの可溶化を顕著に増強し,同時に繊維素分解能にも好影響をた与える。こうして生産された水溶性の低分子量あるいは分解物質は植物体に直接吸収利用されるか,または土壌有効菌の増殖を促して,健全かつ活力ある植物根圏微生物生態系を確立する。そして,農耕系や自然生態系での炭素循環のひとつの経路として,難分解性の天然繊維物質の分解腐植化を強力かつ安定して,確実に遂行する。

1.酵素作用等
(1) タンパク質分解 ■プロテオリティック酵素(Proteolytic enzyme):陽性(強力)■ゼラチン加水分解 :陽性 ■ペプチダーゼ(peptidase) :陽性
(2) デンプン加水分解 :陽性
(3) ぺクチン分解 :陰性
(4) 繊維素分解 :陽性(弱い)
(5) リグニン分解 :陽性繊維素及びリグニンの分解は共に陽性であるが弱い。しかし,繊維素分解菌との共生的混合培養によって,リグニンを強力に可溶化し,同時に繊維素の分解能も増強される。
(6) 脂肪分解 :陰性
(7) インベルターゼ :陰性 
(8) カタラーゼ反応 :陽性
(9) オキンダーゼ反応 :陽性 

2.生産物試験
(1) 糖,アルコールより生酸及びガス発生ガス発生しない。
(2) 色素生産メラニン様色素の生成(チロシン及びペプトン・イースト鉄寒天培地):陰性

3.生育条件
(1) 生育温度最適温度 25~78℃,生育温度範囲 10 ~ 85 ℃,その生育範囲も非常に広く,他のサーモアクチノミセス属の菌種にもみられない特徴をもつ。
(2) 水素イオン濃度最適水素イオン濃度 pH= 6.5 ~ 9.6 。生育水素イオン濃度範囲pH=5.3 ~ 10.8 。これも他の同属の菌種にみられない特徴のひとつ。
(3) 窒素源の同化性有機・無機の窒素源をよく利用する。
(4) 炭素源の同化性(プリドハム・ゴドリーブ寒天培地上)D-グルコース,シュクロース,セロビオース,マルトース,デンプン,有機酸,グルタミン酸塩を利用する。
(5) 酸素との関係絶対好気性。
(6) 微量栄養素の要求旺盛なる生育にビチオン,チアミン,ニコチン酸等の他,ルチン,ヘスピリジン等のフラボノイド色素(Flavonoid pigment)のような微量栄養素が要求される。さらに本菌の良好な発育にはリン酸,カリウム等のイオンが比較的高濃度に要求され,また,炭酸ガスの存在が,その発育や胞子の発芽に要求される。
(7) 健康または環境に対する有害性この属のある菌種に病原性のあるものがあるというが,本菌種にかぎりそのような性質を有することを知らない。分離源主に高速高温コンポスト,熟成堆・厩肥,農耕土壌等。
DNAのG+Cの含有量G+Cのmol%=52.7~54.2(Tn)。

【0019】

II.分類学上の位置本菌株の分類同定をInternational Committee on Systematic Bacteriology(ICSB) が編集した細菌学名の承認リスト(1980) 及び長谷川武治編著(岡見吉郎,清野昭雄):微生物の分類と同定(下),p.1~92(1985)を主とし,バージェーのマニュアル( Bergey's Manual of Determinative Bacteriology 7 ed., 1957 ; 8ed. , 1974 ; Bergey's Manual of Systematic Bacteriology vol.1, vol.2, 1984, 1986.)を参考として行った。その結果,サーモアクチノミセス属(genus Thermoactinomyces )に属する新菌種と決定した。一般に細菌や放線菌の検索・同定に用いられているバージェーのマニュアルにおける分類基準では完全なものとは言えず,不確定要素が多く,特に放線菌のサーモアクチノミセス属(genus Thermoactinomyces)についてはその分類上の所属さえ曖昧である。同マニュアル(1986)によるとバチルス属(genus Bacillus )ときわめて近似し,この属は他の放線菌(oder Actinomycetales )とは類緑性が薄いとして,外されているが,バチルス(family Bacillaceae )の仲間にも入っていない。そのうえ,サーモアクチノミセス属(genus Thermoactinomyces)に属する種(species)は,バージェーのマニュアル(7版,1957)では3種,同マニュアル(8版,1974)では5種,そして同システマテック(2巻,1986)では基準種(Type species)のT. vulgaris の1種のみが記載されている。また,他の分類・同定書でも,所属する種の数はまちまちで,野々村,小原等(1)は3種,そしてICSBが現在までに基準種Thermoactinomyces vulgarisTsiklinsky 1898, Type strain : KCC A-0162 のほかに5種が承認名(nomen approbatum )とされている。放線菌(Class Actinomycetes, Order Actinomycetales)の分類基準は他の細菌類と比べると,おもむきをやや異にしている。たとえば,放線菌は抗生物質等の有用な生理活性物質の宝庫として特徴付けられ,放線菌の分類は,抗生物質の研究のめざましい最近の発展と併行して,近年,急速の進歩をみせている。すなわち,DNAの塩基組成と配列の比較,DNA交雑(DNA-hybridization)試験,その他分子レベルでの解析を主体とする遺伝生化学的手法のほか,血清免疫学的分類,ファージ感受性による分類,菌体の構成糖や脂質組成による分類,菌全体のIRスペクトルによる分類が試みられ,また一方電子計算機器の発達が同時に,客観性の高い分類体系をつくろうという考えから,数値分類法(Numerical taxonomy)等が試みられ,いわゆる新しい意味での化学分類学(Chemotaxonomy)の手法が,逸早く導入されている。しかし,放線菌,細菌分類へのこれらの新しい知見の導入は一部であって,大部分は伝統的なクラシックな分類基準で,特徴的な表現形質に基づいている。今,まさに過度期にあると言って過言ではない。したがって,現在の時点では,本放線菌を新種(new species)と決定し,サーモアクチノミセス SK053 sp. nov.(Thermoactinomyces SK053 sp. nov.)と表示するにとどめる。

【0020】

(1) 耐熱性の真正内胞子を1個ずつ基生菌糸と気菌糸につくる。生育温度が高く好熱性で、間違い無くサーモアクチノミセス属と同定できるが、基準種とは甚だしく趣を異にし、生育の最適温度25~78℃、同温度範囲10~85℃で、基準種よりもはるかに高く、かつ又甚だしく低い。そして、生育の温度範囲は好熱性-中温性-低温性と全般に渡っている。
(2) 生育の水素イオン濃度も最適pH=6.5~9.6,濃度範囲pH=5.3~10.8と、酸性,中性,アルカリ性とその濃度幅が広く、かつアルカリ側に強い。
(3) 基準種の酵素活性は、ゼラチン可溶化,デンプン加水分解ともに陽性であるが、繊維素の分解は陰性,リグニンの可溶化の記載はない。近縁菌において、繊維素分解の陽性の記載はあるが、非常に弱く、工業生産には利用できない。又リグニンに対する酵素活性については全く記載がない。
従って、本菌の繊維素の分解作用とリグニンの可溶化能をもつことが、本菌の第二に上げられる特徴です。そして、本菌が好熱性,中温性,好冷性,又は嫌気性,好気性,或いは脱窒性の各種繊維素分解菌と共生的混合培養によって、リグニンの可溶化能を顕著に増強し、同時に繊維素分解能にも好影響を与える。本菌のこの働きが、特に強調したい点で、この特異性の発見がキーポイントとなる着想であり、又、本菌は強力なタンパク質分解活性をもち,硬タンパク質をよく分解します。

【0021】

(4) 本菌は旺盛なる生育にビオチン,チアミン,ニコチン酸等の他,ルチン,ヘスピリジン等のフラボノイド(Flavonoid pigment)のような微量栄養素が要求される。
(5) 本菌が絶対的好気性で、グラム陽性,カタラーゼ反応,オキシダーゼ反応ともに陽性、さらにDNAのG+Cのmol%=52.7~54.2(Tn)であることが、他の放線菌類とは類縁性が薄く、バチルス属(genus Bacillus)と強い類縁性を示す所以であります。

【0022】

斯かる理由によって、本菌の生育温度の特異性とリグニン可溶化能の生理生化学的性質をひとつの根拠として新菌種(new species)と決定し、サーモアクチノミセスSK053sp.nov.(Thermoactinomyces SK053 sp.nov.)と表示するにとどめました。

【0023】

本菌株を基準菌株とし、サーモアクチノミセス属(genus Thermoactinomyces)に属する菌種中、本来リグニン可溶化能が有り繊維素分解菌との共生的混合培養によって顕著にリグニン可溶化能を増加増強することを特徴とし、かつSK053菌株及び自然並びに人工的変異種を包括する生理生化学的性状による新菌種であります。

【0024】

微生物受託番号
本菌の微生物受託番号は、工業技術院生命工学工業技術研究所 受託番号FERM P-13598である。

【0025】

新菌SK053のスクリーニングは主に高温高速コンポスト,熟成堆・厩肥,農耕土壌等を分離源として55~60℃で寒天平板培養によって定法通り分離する。培地としてMY培地を使用する。必要に応じて微量栄養素を添加する。

【0026】

新菌SK053は、もともと良質のコンポストや完熟堆肥、厩肥に白色,粉状の微生物として出現する。本菌の出現は、昔から堆・厩肥の熟成のあかしとされてきた。本菌のリグニン可溶化能と繊維素分解能を有することに着目し、本菌と繊維素分解菌との共生的混合培養によって、この二つの働きが顕著に増強されること、及びその他の作用機能にも好影響を与えることに着目したこの共生的混合培養法は、多種類の難分解性有機資材の分解利用を可能にし、その生産性を向上させ、液体発酵土壌活性剤の新製造法を確立した。このようにして、新菌SK053を主要菌のひとつとする健全な活性力のある土壌微生物フローラ形成は、環境要因の変化に対して土壌有効菌の生育と作用機能を安定させて、土壌病害や連作障害を逓減消滅させる機能を有したと言えます。

【0027】

新菌053と繊維素分解菌の混合培養物とは、
1.新菌SK053の多量培養物MY培地を用い、通気又は振盪等の好気的条件下で、65~70℃,24時間培養し、菌体含有の培養物とする。
2.繊維素分解菌の多量培養物オメリアンスキー(Omeliansky,1904)又はビルジョンらの培地(Viljoen etal,1926)を用いて、嫌気又は好気的条件下で、それぞれの適温で24又は72時間培養し、その培養物とする。

【0028】

3.新菌SK053と繊維素分解菌との混合培養物
下記の培地を用い、新菌SK053及び繊維素分解菌の多量培養物の適量を接種して、20~70℃まで、各繊維素分解菌の適温で、24~72時間培養して、両細菌種の混合培養物とする。又これに賦型剤を用いて粉粒体とする。施用直前に両菌種の多量培養物の等量をとってよく混和して施用する。尚、下記の共生混合培養用E-培地を以下単にE-培地と称する。
共生混合培養用 E-培地 K2HPO4 5kg (NH4)2SO4 2kg 尿素 2kg 
ペプトン 5kg 酵母エキス 5kg ろ紙(繊維素)15kg 微量栄養素 200mlCaCO3 過剰水(~pH=7.0) 1000ℓ

【0029】

4.両菌株の共生的混合培養のもたらす有用性共に高温環境という条件下で、絶対好気性のサーモアクチノミセス属のSK053菌と嫌気性の好熱性繊維素分解菌SK522菌株との共生的混合培養は、SK522菌株単独ではほとんど不可能な天然の難分解性有機資材の分解発酵を顕著に高揚する。まず、SK053菌の増殖はSK522菌株の欠除するタンパク分解活性を充補する。しかも、有機資材の分解発酵は、はじめかなり通気のよい環境下におかれている。そして、初期の段階におけるSK053菌の増殖は高温嫌気的環境へと変移せしめ、これによってSK522菌株の自然界での生育が可能となりSK053菌の生育は完熟の最後の段階まで続く。

【0030】

(1) リグニンの可溶化、ここで特に注目されることは、SK053菌によってSK522菌株のリグニン可溶化機能が相互に顕著に発揮されることです。難分解性有機資材は、実際には繊維素がリグニン、その他の有機成分と強く吸着し結合した状態で存在し、こうした天然のリグノセルロース性物質は繊維素分解力の旺盛なSK522菌株でさえ単独施用ではほとんど分解が不可能であり、リグニンの化学構造は未だ完全に明らかにされていないが、ベンゼン環に炭素数3つの側鎖を持つフエニルプロパンが基本単位になって、この単位体がパーオキシダーゼによって触媒されるラジカル反応によりランダムに三次元的に重合した高分子化合物と言われ、微生物の分解に対する抵抗がきわめて強く、きわめて分解困難であることは多くの研究者・技術者の認める一致した見解でもあります。

【0031】

ところが、本資材で使用するSK053菌とSK522菌株は弱又は微弱ではありますが、リグニンを可溶化します。そして、このリグニン可溶化機能が、SK053菌と共生的混合培養することによって、相互に強調しあってたとえば、イナワラリグニンの50~60%以上が5~7日前後の短日時において可溶化されるということがはじめて明らかにされました。その実際的な施用が本資材の重要な特徴的態様で、その作用効果は50~80℃以上という高温期段階で発揮され、その腐植熟成化が急速に進行します。

【0032】

(2) 黄色色素の産生SK522菌株の産生する黄色色素はカロチノイド系の不溶性色素であり、菌体中のこの黄色色素が他の微生物等による分解を受け水溶性の低分子量体のものとなります。これが植物体に吸収され、必要部位に移行し、丁度都合の良い前駆物質となり、すなわち、このような黄色色素が、ほかの溶菌した細胞内容物や分泌物、それに発酵生産物等とともに根茎葉部位の増大繁茂を促すだけでなく、花芽の形成,着果,果実の肥大等の生殖生長の代謝系に深く関与していることが分子生物学的レベルで行なわれた研究によっても明らかにされ、その応用利用へと発展し、すでに果実の味,色沢,貯蔵性等品質向上に役立っています。

【0033】

(3) 微生物生態系の混合複合化によるこの黄色色素を含むSK522菌株の菌体を施用すると、それを基質として繁殖する一般の従属栄養微生物,土壌有効菌等の増殖を促し、さらに重要なことは、SK053菌は別として、自然界の現場では、SK522菌株のような好熱性微生物が、すぐに増殖活性化するわけではなく、当初は一般の常温性従属栄養微生物が増殖し、これらの作用による発酵熱が蓄積されて品温の上昇に役立つものであり、単一菌株の好熱性繊維素分解菌や少数の微生物のみが有機資材の腐植化に関与するわけではありません。微生物フロラーの混合複合化多様化が求められます。さまざまなタイプの有効菌が多く、さらに「エサ(基質)」も適度にあるという複合的内容が望ましく、こうして、有機性物質の高温分解は、SK053菌やSK522菌株を中心とする細菌フロラーがまず形成され、その発酵分解過程が単純な構成成分の変化だけでなく、きわめて複雑な微生物フロラーの相互作用やその変遷等が深い関わりをもって最も効率よく進行するのであります。
SK053菌,SK522菌株とSK542菌株以外の有効菌としては下記のものがある。

【0034】

(1) ヘミセルロースの分解菌の培養物ヘミセルロースは繊維素とともに植物体(細胞壁)を形成し、これを構成する糖類によって、キシラン,アラバン,デキストラン,マンナン,ガラクタン等と称せられる。ヘミセルロース分解菌の培養物は、イナワラキシラン約1%の濃度に加えた岩田の培地(1936)を使用し、30~38℃,通性嫌気的に集殖する。通常、バクテリウム・ブルガトゥス(Bacterium vulgatus),バクテリウム・プロディギオサム(Bac. prodigiosum),バクテリウム・メセンテリクスルバー(Bac. mesentericus ruber),ミクロスピラ・アガーリクェフィセンス(Microspira agerliquefaciens)等の1株又は2株以上の混合培養物が獲得される。
(2) ペクチン物質分解菌の培養物ペクチン物質を強力に分解する細菌は、好気性のものでは枯草菌群細菌及びエタノール・アセトン菌に、又嫌気性ではラク酸菌に属するものが多い。本発明では、モリシュの培地(Molisch 1939)を用い、土壌,堆肥,馬糞,バガスやチョ麻等の腐敗物を分離源として、27~35℃,培養日数3~5日,厚層及び薄層で数回の集殖培養で種菌を獲得する。本発明では、その1株以上数株の培養物を用いる。

【0035】

(3) 土壌放線菌の培養物放線菌(Actinomycetales Buchanan,1917)の土壌中の働きについて一般的に言うことが難しい。しかし、各種の有機性物質、特に難分解性の繊維素,リグニン等を他の微生物とともに分解し、土壌肥沃のもとになる腐植の生成に重要な働きをしており、又抗生物質の産生を通してのミクロフローラ・コントロール面で重要な意義をもつことは確かである。放線菌の培養は、ワックスマンの培地(Waksman 1919),分離源に肥沃な土壌,又堆・厩肥を用い強力菌を集殖する。

(4) 土壌糸状菌及び酵母の培養物土壌糸状菌の最も多く存在する場所は、細菌,放線菌と同様土壌で、土壌中の糸状菌は当然植物根のある耕作土に多く、特に根圏ではその働きも活発である。植物遺体等の有機性物質の分解にあずかり、土壌の肥沃度に関係する。糸状菌は主として分解の初期段階で活躍していると考えられる。次に土壌酵母の働きについては不明の点が多い。しかし、土壌中には相当数の酵母菌が存在し、かつその含有する豊富なビタミン類や生育因子をめぐって他微生物との共存共棲や土壌活性等に影響のあることは確かである。土壌糸状菌や酵母の培養物は、ツアペック・ドックスの培地(Czapek & Dox1910)を用い、土壌或いは堆・厩肥より分離、培養する。

【0036】

(5) 好熱性バチルス属の培養物一般に好気性,運動性,内生胞子を有する桿菌で、土壌、葉面、枯草等自然界に広く分布する一群の細菌で、ほとんどの菌株が強い熱抵抗性をもち、55℃以上でも生育できるものが多いことから堆肥製造中の主要な微生物であるという報告もある。又、バシトラシンやバシリシン等の抗菌物質を分泌することが、近年土壌植物病理学の分野で注目されている。このようなことから、本菌群を作物生産に利用しようとする試みが可能で、肥沃な土壌や堆・厩肥等の懸濁液を80℃,10分間,加熱処理して分離源とする。ワックスマンの培地(Waksman,1922)を用い、50~60℃,好気的に本菌群を集殖し、これらの菌の単独又は混合培養を用いる。

【0037】

(6) 黄色色素産生菌の培養物細菌の産生する黄色色素はカロチノイド系の色素である。特に完熟堆肥中に数多く存在し、種類も多い。また植物葉面にもよく存在する。これらを分離源とし、通常の肉エキス培地又はペプトン・酵母エキス培地を用い、25~35℃,好気的条件下で培養,分離する。黄緑色,黄色,黄褐色,紅色等の呈色によって容易に識別され、一般にフラボバクテリウム(Flavobacterium),クロモバクテリウム(Chromobacterium),シュドモナス(Pseudomonas),セラテラ(Serratia),光合成細菌(Phototrophic bacteria)等に属する1株又は2株以上の培養物が獲得される。

【0038】

そして次に、本資材のSK053菌と混合するSK522菌株とその混合培養の生育と発酵に好影響を与えるSK542菌株について説明する。
[I]SK522菌株クロストリジュム・サーモセルム SK522(Clostridium thermocellum biovar SK522,微工研条寄第3459号,FERM BP-3459)(略称SK522菌株)
I.科学的性質菌学的性質随伴菌なしで、単独では生育ができない。しかし、随伴菌は、容易に単離純粋培養されるので、単離した随伴菌を基礎とし、これと共生培養しながら、その諸性質を試験した結果であり、形態直桿状、わずかに湾曲するものもある。単独、ときどき2連。0.3~0.5×2.2~4.0μ。培養が古くなると糸状に伸延し、長連鎖状、長さ5.7~12.8μ。周毛、室温懸滴標本では運動性がみられない。末端に楕円、または円形の胞子を形成して細胞を膨張し棍棒状。グラム陰性。

【0039】

培養的性質
(1) 平板培養肉汁寒天、その他一般の常用培地による平板培養には生育しない。しかし、ビルジョンら(Viljoen et al.)の提示する培地テトロール(Tetrault)円形ろ紙寒天平板培養に随伴菌と黄色斑点状のコロニーを形成するが、本菌単独では作り得ない。
(2) 斜面培養,穿刺培養シュワイツアー(Schweizer)の試薬処理ろ紙添加ビルジョンら(Viljoenet al.)培地寒天斜面培養,及び同穿刺培養ともに生育しない。
(3) バレイショ培養,ゼラチン培養表面,穿刺とも生育しない。
(4) 液体培養ビルジョンら(Viljoen et al.)の培地、繊維素肉汁、繊維素ペプトン水(生育僅少)等の繊維素を含有する培地だけに生育が認められる。グルコース、キシロース等の繊維素以外の物質を炭素源とすれば繊維素の分解力を失う。

【0040】

生理生化学的性質
1.酵素作用等 
(1) 繊維素分解本菌のもつ繊維素分解酵素は、本質的にはいくつかのβ-1、4-グルカナーゼの複合体である。細胞外に分泌され、作用温度80℃以上、同水素イオン濃度pH=10.0以上の耐熱性、耐アルカリ性の酵素が数種含まれていることを確認した。ミセル構造をなす繊維素の巨大分子の末端から切断し、グルコース、セロビオース、セロオリゴ糖類等を生成する。これらの酵素を作用する基質を主体として示すと、■ろ紙を分解する FP-アーゼ:陽性 ■アビセルを分解する アビセラーゼ:陽性、■セロビオースを2分子のグルコースに分解する セロビアーゼ:陽性
(2) リグニン分解 イナワラリグニン可溶化 :陽性 (弱,微弱)
(3) タンパク質分解 ■プロテオリティック酵素(Proteolytic enzymes) :陰性 ■ペプチダーゼ(peptidase) :陽性 
(4) デンプン加水分解テスト :僅かに陽性
(5) ヘミセルロース,キシラン,ペクチンの加水分解テスト :陰性 (6) インベルターゼ,マルターゼ :陽性 
(7) 脂肪分解力テスト :陰性
(8) 酸化反応 ■ハイドロキノン反応 :陽性 ■チロシン反応 :陰性
(9) 還元作用 :陽性

【0041】

2.生産物試験
(1) 繊維素発酵、発酵率78~91%、繊維素を旺盛に発酵してエタノール,メタノール,アセトアルデヒド,酢酸,乳酸,ギ酸,ラク酸,コハク酸,フマル酸,酒石酸,グルコン酸,グルコース,セロビオース,セロオリゴ糖類,セロデキストリン,多量の炭酸ガス,水素,及び硫化水素等を生成する。
(2) その他の糖,及びアルコールより生酸グルコース,ショ糖,マルトース,セロビオースを生成。
(3) ガス発生試験、繊維素より猛烈にガス発生するが、グルコース,ショ糖,マルトース,セロビオースよりのガス発生は認められない。
(4) ペプトン水試験 ■アンモニヤ :僅かに反応あり ■インドール :陽性 ■スカトール :陽性 ■硫化水素 :陽性
(5) 色素生産通常,カロチノイド黄色色素生産

3.生育条件
(1) 生育温度至適温度は65~72℃,温度範囲は40~80℃,40℃以下では生育しない。
(2) 水素イオン濃度至適水素イオン濃度pH=6.7~8.0,その範囲は5.6~9.6。
(3) 窒素源、ペプトンが最も優れ,尿素,尿酸,アスパラギン,グルタミン酸ナトリウム等も良好である。アンモニウム塩も良好な無機窒素源となる。
(4) 炭素源繊維素以外の炭水化物で継代培養を続けると、その生育と発酵力を失う。
(5) 酸素との関係Eh=200~-250mVと推定され、嫌気性菌である。
(6) 微量栄養素の要求、ビオチン,ピリドキサミン,ビタミンB12,p-アミノ安息香酸等の微量栄養素を要求する。

4.DNAのG+Cの含有量
G+Cのmol%=38~40(Tm)と推定される。

【0042】

II.分類学上の位置生育至適温度65~72℃,温度範囲40~80℃という高温に於いて、旺盛に繊維素を発酵する本SK522菌株に類似するものとして、次のような好熱性繊維素分解菌が上げられる。
クロストリジュウム・サーモセルム(Clostridium thermocellum Viljoen, Fred and Peterson,1926.: Jour. Agr. Sci. (London),16,7(1926).)
クロストリジュウム・ディゾルベンス(C. dissolvens Bergey et al.1925,別名 Bacillus cellulose dessolvens Khouvine,1923.: Ann. Inst. Past.37,711(1923);Bergey’s Manual,2nd.Ed.(1925)p.344.)
クロストリジュウム・セルラシウム(C.thermocellulaseum Enebo,1951.:Bergey’s Manual,7th.Ed.(1957)p.689.)
バチルス・サーモセルロリテックス(Bacillus thermocellulolyticus Coolhaas,1928.:Cent Bakt.II,75,101(1928),76,38(1929).)
バチルス・サーモフィブリンコルス(B.thermofibrincolus Itano and Arakawa,1929:農化,5,816,921(1929);6,248,257(1930).)
これらの中で、特に次の4つの相違点を除けば形態学的,培養的,生理生化学的試験において本菌株とよく類似する細菌はクロストリジュウム・ディゾルベンスである。
(1) 弱又は微弱ではあるが、リグニン可溶化能を有する。
(2) 生育適温65~72℃,生育温度範囲40~80℃,40℃以下では生育しない。
(3) 繊維素を旺盛に発酵するが、ヘミセルロース,キシラン,ペクチン等は発酵しない。
(4) リグニン可溶化能はサーマス属(genus Thermus)のある種の細菌によって共生的に顕著に強調され、同時に本菌の繊維素分解力、その他作用機能に対して好影響が与えられる。
しかし現在、バージェーズマニアル(Bergsy’s Manual of Systematic Bacteriology Vol.2(1986)p.1104,p.1141.)において、好熱性分解菌として記載されているものはクロストリジュウム・サーモセルムのみである。クロストリジュウム・ディゾルベンス以下全部当該菌の亜種か変種として取り扱われ、又は研究不完全なものとされている。そこで、本菌株の分類同定は、クロストリジュウム・サーモセルムとその菌学的諸性質を比較検討することとし、同時に他の好熱性繊維素分解菌についても対比し、参考としました。

【0043】

以上のようにして、菌学的諸性質を比較検討した結果を総括すれば、本菌株と公知のクロストリジュウム・サーモセルムをはじめ列挙した好熱性繊維素分解菌との特徴的な性状の相違点として、前記の4項目があげられるが、その他各種炭水化物に対する作用,微量栄養素の要求等,色々と数え上げることができるが、特に強調したいことはリグニンに対する問題である。本菌株がリグニン可溶化能をもち、その可溶化能がサーマス・アクアティックスSK542(Thermus aquaticus biovar SK542)との共生的混合培養によって顕著に増強されることである。これに対して、クロストリジュウム・サーモセルムをはじめその他の好熱性繊維素分解菌のリグニンに関する記載(description)は全く見られない。あったとしても、それは繊維素の分解に対する阻害作用についてである。斯かる理由によって、本菌株のリグニン可溶化能の生理生化学的性質をひとつの根拠として新菌株(Strain)とし、クロストリジュウム・サーモセルムSK522(Clostridium thermocellum biovar SK522)と名称し、本菌株を標準的菌株としてクロストリジュウム・サーモセルム(Clostridium thermocellum Viljoen, Fred and Peterson,1926.)に属する菌種中、リグニン可溶化能を有し、サーマス属(genus Thermus Brock and Freeze1969)に属するある種の細菌との共生的混合培養によって顕著にリグニン可溶化能を増強することが特徴であり、SK522菌株の自然並びに人工的変異株を抱括する生理生化学的性状による新菌株である。

【0044】

微生物受託番号
本菌株の微生物受託番号は、微工研条寄第3459号(FERMBP-3459)である。

【0045】

SK522菌株のスクリーニング土壌,海浜汚泥,堆・厩肥,人・家畜糞便を分離源として55~65℃で数回濃縮培養を繰り返した後、ビルジョンら(Viljoen et al.)の提示する培地テトロール(Tetrault)円形ろ紙寒天平板培養等によって常法通り分離する。培地としてビルジョンら(Viljoen et al.)の提示する塩類組成が適当であるが、必要に応じて微量の無機金属塩類,ビタミン類,生長促進因子,例えば酵母エキス等を添加する。
ビルジョンらの培地(Viljoen,Fred and Peterson 1926)
ペプトン 5.0g炭酸カルシウム 過剰リン酸アンモニウムナトリウム 2.0g酸性リン酸カリウム 1.0g硫酸マグネシウム 0.3g塩化カルシウム 0.1g塩化第二鉄 痕跡繊維素(ろ紙) 15.0g井水 1000ml

【0046】

[II]SK542菌株サーマス・アクアティクス SK542(Thermus aquaticus biovar SK542,微工研条寄第3382号,FERM BP-3382)(略称SK542菌株)
I.科学的性質菌学的性質形 態長桿状、0.4~0.6×3.0~5.0μ。ある条件下、例えば培養が古くなると糸状、長さ20~130μ。鞭毛なし、室温懸滴標本では運動性がみられない。内生胞子なし。グラム陰性。

【0047】

培養的性質増殖が活発。ゼェネレーションタイムは20~50分。
(1) 平板培養3%寒天,60℃培養:黄色,比較的緻密,小円形コロニー。
(2) 寒天穿刺培養表面発育だけ,黄色わずかに拡張。
(3) 液体培養表面に被膜状に生育(静置培養)。

【0048】

生理生化学的性質
1.酵素作用等
(1) タンパク質分解 ■プロテオリティック酵素 :陽性(強力)(proteolytic enzymes)
■ゼラチン加水分解 :陽性 ■ペプチダーゼ(peptidase) :陽性
(2) デンプン加水分解 :僅かに陽性
(3) ペクチン分解 :陽性(弱い)
(4) 繊維素分解 :陰性 
(5) リグニン分解 :陰性繊維素及びリグニンの分解は共に陰性ではあるが、好熱性繊維素分解菌SK522菌株との共生的混合培養によって、SK522菌株のリグニン可溶化能を顕著に増強し、同時に繊維素分解力、その他の作用機能にも好影響を与える。
(6) 脂肪分解 :陰性 
(7) インベルターゼ,マルターゼ :陽性 
(8) カタラーゼ,オキシダーゼ反応 :陽性 
(9) 硫化水素生成 :陽性(弱い)
(10) 硫酸還元反応 :陰性

2.生産物試験
(1) 糖,アルコールより生酸及びガス発生せず。
グルコース,ガラクトース,マルトース,ラクトース,グリセロールより生酸。
(2) インドール,スカトールの生成 :陰性
(3) 色素生産黄色色素(カロチノイド系色素,吸光度最大値450nm,その他430,435,470nmに小さなピークがある)を産生する。しかし、グルコース、その他の糖類を炭素源とする合成培地ではほとんど産生されない。

【0049】

3.生育条件
(1) 培地濃度サーマス属(genus Thermus)の細菌は一般に有機物濃度に感受性がある。栄養物は少なく、濃度が低い方がよいといわれている。しかし、本菌株はこれらと趣を異にし、通常の濃度においてもよく生育する。
■食塩NaCl 5%以上でも生育する。至適濃度2.0~3.0%。一般にサーマス属(genus Thermus)の細菌は2%以上のNaCl存在下では生育しない。
■グルタミン酸ナトリウム3%以上でも生育する。
■ショ糖,又はマルトース5%以上でも生育する。
■2%ペプトン+1%酵母エキスの存在下でも、その生育が阻害されない。一般にサーマス属(genus Thermus)の細菌はトリプトン,酵母エキス濃度,それぞれ0.1%前後が適当で、各々1%以上になると生育しない。
(2) 生育温度最適温度は72~76℃,生育温度範囲40~82℃,40℃以下では発育できない。
(3) 水素イオン濃度最適水素イオン濃度pH=6.0~10.0。生育水素イオン濃度範囲pH=4.0~11.0。
(4) 窒素源ゼラチン等のタンパク質,グルタミン酸塩,尿素,それに無機窒素源としてアンモニウム塩がよく利用される。
(5) 炭素源グルコース,ショ糖,マルトース,ガラクトース,セロビオース,ラフィノース,スタキオース,デンプン,グリセロール,酢酸,ラク酸,リンゴ酸,グルタミン酸塩を利用する。
(6) 酸素との関係絶対好気性。
(7) 微量栄養素の要求本菌株は微量栄養素の要求が高い。ビオチン,ニコチン酸アミド,チアミン等のビタミン類が要求されるほかに、本菌株の良好な発育には鉄,マンガン,カルシウム等の金属イオンを比較的高濃度に要求する。そして、これらのミネラル量にも敏感である。
(8) 抗生物質に対する感受性一般のサーマス属(genus Thermus)の細菌と同様に、ペニシリンG,クロラムフェニコール,テトラサイクリン,ストレプトマイシン,カナマイシン,その他抗生物質に高い感受性を示す。
4.DNAのG+Cの含有量G+Cのmol%=68(Tm)と推定される。

【0050】

II.分類学上の位置
本菌は絶対好気性,生育至適温度72~76℃,生育温度範囲40~82℃,40℃以下では生育しない。無胞子,グラム陰性の長桿菌であること等から、その他菌学的諸性質を勘案して、サーマス属(genus Thermus Brock and Freege 1967)と同定される。そして、類似するサーマス属(genus Thermus)の細菌として、サーマス・アクアティックス(Thermus aquaticus Brock and Freege 1969.:Bergey’s Manual(1984)Vol.1,P.337.)
サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus Oshima and Imahori 1974.:Int.J.Bacteriol.,24,102(1974))
サーマス・フラブス(Thermus Flavus Saiki,Kimura and Arima 1972.:Agr.Biol.Chem.,36,2357(1972))
等が上げられるが、現在バーゼーズマニアル(Bergey’s Manual of SystematicBacteriology Vol.1(1984)P.333)のサーマス属(genus Thermus Brock and Freeg 1967)に属する細菌種はサーマス・アクアティックス(Thermus aquaticusBrock and Freege 1969)だけであり、しかも下記のような既知の菌種中に見出し得ない特徴的な性状を有するので、本菌株をサーマス・アクアティックスの新菌株(strain)として、サーマス・アクアティックスSK542(Thermus aquaticus biovar SK542)と名称するのが妥当であると結論する。

【0051】

(1) 好熱性繊維素分解菌SK522菌株との共生的混合培養によって、そのリグニン可溶化能を顕著に増強する。と同時に繊維素分解力,その他の作用機能にも好影響を与える。
(2) 広域の作用水素イオン濃度と作用温度を有する強いタンパク質分解力を持つ。
(3) 有機物濃度の感受性が、既知のサーマス属(genus Thermus)の細菌と異なり、非常に弱く、通常濃度の培地においてもよく生育する。
(4) 微量栄養素の要求が強く、各種ビタミン類及び金属イオンを要求し、それらのミネラル量にも敏感である。
(5) 黄色色素(カロチノイド系色素,吸光度最大値450nm,その他430,435,470nmに小さなピークがある)を産生する。

【0052】

SK542菌株とは、本菌株を標準的菌株とし、サーマス・アクアティックス(Thermus aquaticus Brock and Freege 1969)に属する細菌種中、好熱性繊維素分解菌(SK522菌株)との共生的混合培養によって、そのリグニン可溶化能を顕著に増強し、同時に繊維素分解力にも好影響を与えることを特徴とし、かつSK542菌株及び自然並びに人工的変異株を抱括する生理生化学的性状による新菌株(strain)である。
微生物受託番号、本菌株の微生物受託番号は、微工研条寄第3382号(FERMBP-3382)である。

【0053】

SK542菌株のスクリーニング分離源は九州各地の温泉源及び温泉源付近の土壌、腐植等である。分離試料を55~60℃で前培養した後、常法に従って3%寒天平板培養によって単離する。
分離用培地組成(カステンホルツの培地:Castenholz,R.W.;Bacteriol.Rev.,33,467(1969))
ニトリロ三酢酸 100mgCaSO4・2H2O 60mgMgSO4・7H2O 100mgNaCl 8mgKNO3 103mgNaNO3 689mgNa2HPO4 111mgFeCl3 0.28mgMnSO4・H2O 2.2mgZnSO4・7H2O 0.5mgH3BO3 0.5mgCuSO4 0.016mgNa2M0O4・2H2O 0.025mg(イーストエキス 5000mg)(トリプトン 5000mg)(ショ糖 10000mg)
全量(純水で、pH=~8) 1000ml注:( )内の組成は発明者らが改変。

【0054】

その他の混合微生物
選抜光合成細菌
この光合成細菌は、主に紅色非(無)硫黄細菌の集積混合培養で、ロドシュドモナス(Rhodopseudomonas)、ロドスピリルム(Rhodospirillum)およびロドミクロビウム(Rhodomicrobium)の3属がこの科に属する。この光合成細菌は条件的嫌気性細菌とされているが、嫌気・明、好気・明、好気・暗、何れの条件でも生育する。生育の適温は20〜28℃、生育可能温度は5〜42℃、水素イオン濃度の最適はpH6.7〜9.0、 範囲はpH6.0〜11.0である。他社の光合成細菌との大きな相違点は、純粋な光合成細菌だけの培養でなく、数種光合成細菌と有効な細菌群の混合培養で、これはかつて日本全国の農地に見られた土壌細菌群の復元です。その特徴として、
1)有機低分子化合物、例えば、低級脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、ラク酸、乳酸のような)、エタノール、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、単糖類(グルコース、フルクトース等)、アミノ酸類等を好んで資化する。
2)これらの生産する色素は容易に分離され、その存在は細菌、その他の微生物の生育のみならず、同時に分泌されるアミノ酸類や低分子量核酸類とともに高等植物の生殖成長の代謝系に深く関与し、果実の品質や収穫量などに好結果をもたらす。
3)カロチノイド系色素を含む光合成菌の生菌体を施用すると、それを基質として繁殖する一般の従属栄養微生物、土壌有効菌、特に放線菌等の増殖を促す。
4)紅色非(無)硫黄細菌が、水田土壌の秋落ち現象による被害の防止、レンコンやイグサ栽培地のおける硫化水素のよる被害の防止対策にその生菌体を施用して成果が認められる。
5)生糞や魚粕等の分解の際に生じるビュトレン(テトラメチレンジアミン)等の有毒アミンの消化除去。
6)堪水条件や湿地状態のところで、有機物含量が多いほどよく繁殖し、有機物汚染物質を浄化する能力が極めてたかく、増殖した菌体を動物プランクトンや、魚介類のエサ(餌)と直接利用され、その分泌された物質が藻類の増殖を促進することが、既に報告されています。

効果

以上のように、本資材は有用な新菌を含む微生物群を提供します。また、新菌SK053と新菌株SK522などの繊維素分解菌との共生的混合培養の成功は、自然生態系や農耕生態系、また植物工場等の生産システムにおける微生物フローラへいくつかのすぐれた利用を可能にし、その実用化を確実なものとしました。本液体発酵活性剤の適切なる施用は、栽培植物の品質の向上、多収穫を第一の特徴としますが、さらに、
(1) 土壌浸透性がきわめてよくなります。ハウス、温室や植物工場では土壌 、水の補給が重要な要素でありますが、浸透性のよい、栄養分の多い水が根づくり、土づくりに効果を発揮します。
(2) また、固くしまった土壌も団粒化が進み、急速に膨軟な土壌へ変化します。
(3) 土壌水素イオン濃度が中性か、弱酸性または弱アルカリ性に、同時に電機伝導度も矯正されます。
(4) また、土壌病虫害が少なくなり、生理障害も防がれ、しかも収穫後の残幹根も分解が早くなり、未熟有機物投入の弊害も少なくなります。
以上その利点として注目されますが、そのような効果は従来の肥効主義による肥料や施肥の技術では考えられないことであり、有機質肥料の遅緩的効果だけではなく、本液体発酵土壌活性剤の効果は、土壌微生物を従来の施肥技術や栽培理論に重大な要因のひとつとして組み入れる事で本混合有効微生物の集塊を栽培植物の根の回りに常在させる事によって、根-微生物-土と言う三者間の関係が活性化し、植物や肥料が持つ本来の力を引出すものです。